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よこまちポストON AIR vol.4「富士吉田プロジェクトのこれまでとこれから」

「よこまちポスト」とは、富士吉田市・横町の国道138号線沿いの旧郵便局を改修したまちづくりギャラリーです。富士吉田プロジェクトでは、対面の場での交流が制限されている今、上吉田の方々との繋がりを維持しながら、さらにこれまでご参加が難しかった方々にもまちづくりに興味を持っていただくため、よこまちポストのオンラインの場として、「よこまちポストON AIR」を開催しています。

第4回目となる今回は「富士吉田プロジェクトのこれまでとこれから」と題しまして、本プロジェクトOBの先輩方をお招きし、2017年度からスタートした本プロジェクトのこれまでの取り組みについて振り返りました。



開催概要

日時:2020年8月25日(火) 20:00-20:30

開催方法:ZOOMを用いたオンライン・リアルタイムでの開催

概要:2017年に始まった富士吉田プロジェクトの活動は、今年で4年目となります。これまで、国道拡幅後の将来ビジョン検討、浅間神社前駐車場の活用をはじめとした社会実験に取り組んできました。

私たちは、2020年をこれまでに積み重ねてきた検討の内容をまとめる年として位置付けました。検討のまとめに向け、プロジェクトOB/OGとの対談を通してこれまでの活動を振り返り、現在の取り組みを紹介した上で、今後の展望について語ります。



活動年表とこれまでの取り組み

最初のセッションでは、現プロジェクトメンバーから、2017年度から現在までのプロジェクトの活動について説明しました。

本プロジェクトでは、<<長期的なまちのビジョンの検討>>と、その社会実験として位置付けた<<短期的なアクション>>を往復し、その内容について「まちづくりのつどい」で地域の方々と意見交換をする、という枠組みで活動を進めてきました。


<<長期的なビジョン検討>>としては、国道拡幅後の交通動線や、拡幅が国道沿道敷地に与える影響についてのシミュレーションを、2017年度から継続して行なっています。拡幅に向けたまちづくりの具体的なイメージを持つために、道路拡幅に向けたまちづくりを行なった他地域の事例についても調査しています。

<<短期的なアクション>>としては、浅間神社前駐車場と大門地区、さらに「よこまちポスト」を対象に、地域の方々を巻き込んだ様々な取り組みを実践してきました。

年に3回程度実施してきた「まちづくり勉強会」では、プロジェクトの活動内容や将来ビジョンについて、地域の方々を議論を続けてきましたが、今年度の勉強会の開催は難しい状況が続いています。



OBとともに、活動を振り返る

続いてのセッションでは、お招きしたプロジェクトOBとともに、これまでの活動をより詳しく振り返りました。

今回ご参加いただいたのは、2017年のプロジェクト開始当時のメンバーで、現在は愛媛県内子町の地域おこし協力隊として活動されている岡山さん、2018-19年度にプロジェクトメンバーとして活動されていた仙石さんのお二人です。


-プロジェクト参加のきっかけは?

初期メンバーである岡山さんは、世界遺産にも登録された富士山信仰と深く結びついた上吉田のまちの可能性や、道路拡幅事業を見据えたまちづくりに取り組めるところに惹かれ、プロジェクトの参加を決めたそう。ただ、開始当時は活動の自由度が非常に高く、どこから手をつけて良いか、進め方に戸惑ったこともあったそうです。

一方、2年目からのメンバーである仙石さんは、1年目の活動ですでに挙がっていた<<長期ビジョン>>と<<短期アクション>>というキーワードに惹かれたといいます。検討内容をすぐに実行に移せるフットワークの軽さに魅力を感じ、プロジェクトへの参加を決めたとのことでした。


-2017年度の調査から見えてきたまちの資源

はじめの2017年度では、横町・大門の歴史や街並みに関する基本的な調査が行われました。

岡山さんによると、こうした基本的な調査を通して、まちづくりに関心のある地域の方との繋がりができたことが大きな成果となりました。また、この地域の大きな特徴である「吉田の火祭り」ににおいて松明が作り出す独自の景観が、まちの重要な資源として見えてきたそうです。


-交通動線の検討

2017年度・18年度にかけては、道路拡幅後の交通動線の検討も行われました。

道路拡幅後の課題は、中央分離帯ができることによる右折アクセスの制限、また高低差の発生で国道への出入りができなくなる箇所が出てくる点が挙げられます。


2017年度の検討では、これらの課題に対応するA-Cの3案が提示されました。岡山さんによると、これらの検討案は、取りうる可能性として暫定的に地域の方に提示し、修正していくためのものとして作ったもの、とのことでした。

2018年度の検討では前年度の案がよりブラッシュアップされて提示されました。

西念寺前から国道へ抜ける道路の自動車アクセスが可能であると判明したことを受けて新たに動線を組み直すとともに、中央分離帯の設置に伴うアクセスの不便さを地域全体でどう解消するかを考慮した、と仙石さんは振り返っていました。


-拡幅の沿道敷地への影響シミュレーション

2018年度からは、道路拡幅に伴う沿道敷地への影響についてのスタディが行われました。

道路拡幅の際、敷地の一部を道路用地として供出することが求められます。その結果、ある敷地では前庭が大きく減少したり、あるいは道路用地に建物が建っている場合には曳家や減築・建替などの対応が必要になります。また、拡幅後に残る敷地が、その場所で住み続けるのに十分でない面積になる場合もあります。

こうした敷地ごとの諸条件を確認し、より多くの人が居住継続を選択するパターンや、より多くの人が転出してしまうパターンまで、様々なケースを考えてシミュレーションを行いました。


その結果、建て替えが必要な敷地や、空地化する敷地はある程度まとまって発生しそうだということがわかりました。まとまって建て替えが起こる可能性の高いエリアでは、建て替え後の町並みのあり方を、まとまって空地化する可能性の高いエリアでは、敷地の合筆などにより有効活用する方法を、考えていくことが効果的であると言えます。


-浅間神社前駐車場での社会実験

2017-19年度の3年にわたり、短期アクションとして浅間神社前駐車場での社会実験を行ってきました。

2017年度は、駐車場に設置された案内看板のリニューアルを行いました。駐車場と浅間神社を往復するだけで帰ってしまう観光客の回遊を誘発することを狙って作られましたが、日中英の3ヶ国語表記で、外国人観光客にも見てもらえるように意識されたそうです。

これに引き続き、2018年度には歩道と駐車場の間のフェンスを撤去し、ベンチの設置、ものづくりワークショップを実施しました。浅間神社の訪問客がとどまれる場所を作るととともに、沿道を歩く歩行者が気軽に立ち寄れるように配置を意識したとのことでした。


-今後の横町・大門や富士吉田プロジェクトに期待すること

最後に、拡幅後の横町・大門のあり方、これからの富士吉田プロジェクトに期待することを伺いました。

岡山さんは、富士山信仰の歴史が色濃く残る上吉田の魅力を残して欲しい、世界に誇れる美しい街並みを国道138号でも実現してほしい、と仰っていました。

仙石さんからは、地元の方との繋がりをより深めていってほしい、現地でのアクションができない今だからこそ、長期ビジョンを、外からの目線を生かしてじっくり考える時間にしてほしい、とコメントいただきました。



ご視聴いただいた皆様、そしてゲストの岡山さん・仙石さん、ありがとうございました。

昨年度から大きく状況が変わり、様々な活動が制限されている厳しい時期ではありますが、こうしたオンラインの場を軸に、関心を持ってくださる地域の方ともコミュニケーションをとりながら、拡幅後の横町・大門のあり方についてじっくり検討を深めていけたらと思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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Produced by Keio University and the University of Tokyo   富士吉田市の魅力ある街のデザイン調査研究

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